とかげのしっぽ

医学を中心とした記事を不定期に更新します

グラム染色の原理とは?細菌の分類はゴロ合わせで一発!

そもそも細菌とは?

 

一般的に細菌は細胞壁を持つ微生物です。(人間には細胞壁はありません)

その中でも、その細胞壁の構造が

①厚いペプチドグリカン層

②薄いペプチドグリカン+外膜(リポ多糖+リン脂質)

という2パターンに分かれています。

 

①がグラム陽性、②がグラム陰性

という風に呼ぶんですが、グラム染色とはどういう染色なんでしょうか?

「基礎的な知識→臨床現場での用途」という順で説明していきます。

 

基礎的な知識

グラム染色の手順:染色(紫)→増幅→脱色→染色(赤)

(染色の液体は施設によって違いますが、代表的な試薬で説明します)

⑴染色(紫):クリスタルバイオレットで染色

ペプチドグリカン層が紫に染まる

 

⑵増幅:ヨウ素処理

クリスタルバイオレットとヨウ素が複合体を形成して、ペプチドグリカン層の中で大きくなる(ペプチドグリカン層にびっしり詰まるイメージ)

 

⑶脱色:アルコールで脱色

グラム陰性細菌はペプチドグリカン層が薄いから、アルコールでダメージを与えるとスルスルと紫色の複合体が抜けていく。

一方でグラム陽性細菌はペプチドグリカン層が厚いから、紫色の複合体は留まる。

 

⑷染色(赤):サフラニン液で染色

グラム陰性細菌の薄いペプチドグリカン層が赤色に染まる。

グラム陽性細菌は紫色の複合体がビッシリ詰まっているから赤色の色素は入ってこない。

 

という流れで、最終的には

グラム陽性:紫色

グラム陰性:赤色

となります。

 

一番難しいのは分類ですよね

ブドウ球菌大腸菌のような身近な細菌から、

コレラや百日咳菌のような馴染みのない細菌まで、

グラム染色の分類って難しいですよね。

これはもう暗記事項なのでゴロ合わせで乗り越えましょう!

 

グラム陽性球菌のゴロ:チョー連鎖するブドウ

ブドウ球菌黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌

・レンサ球菌:A群β溶血性レンサ球菌、B群βレンサ球菌、緑色レンサ球菌、肺炎球菌

・腸球菌

 

〈コメント〉

ブドウ球菌、レンサ球菌はメジャーですから覚えやすいですよね。

肺炎球菌は双球菌なのでレンサ球菌(2つがレンサしてる)に分類されます。

腸球菌もグラム陽性な事に注意しておきましょう。

 

グラム陽性桿菌:CCCテリア

C:クロストリジウム属

C:セレウス菌

C:炭疽菌(炭素だからC)

テリア:ジフテリア、リステリア

 

〈コメント〉

クロストリジウム属は4つ覚えましょう。

パーフェクトなディフェンスが破れて没

パーフェクト:ガス壊疽(C.perfringens)

ディフェンス:偽膜性大腸炎(C.difficile)

破れて:破傷風(C.tetani)

没:ボツリヌス(C.botulinum)

 

クロストリジウム属は毒素を産生する細菌ばかりなので、ゴロなしでも覚えやすいです。また、嫌気性菌である事にも要注意です。

Cが3つ出てきましたが、この3つは芽胞を形成します。このゴロでまとめて覚えちゃいましょう。(ただし、嫌気性菌はクロストリジウム属のみで、残りのCCテリアは好気性・通性菌です。)

 

グラム陰性球菌:陰キャラのモラルは淋しい(ズーン)

陰キャラ:陰性球菌

モラル:モラクセラ・カタラーリス

淋しい:淋菌

ズーン:髄膜炎

 

〈コメント〉

淋菌と髄膜炎菌はナイセリア属であることは覚えておいても良いかも。

この3つの細菌は、いずれも双球菌であることは重要です。

 

グラム陰性桿菌:その他!!

国試的には、この覚え方で十分です。

大腸菌が馴染み深いぶん、初学者のころはグラム陽性球菌とごっちゃにしやすいですが、グラム陰性桿菌として重要です。(尿路感染症の原因菌として最多)

 

 

臨床でのグラム染色の用途

細菌感染の多くは救急や外来といった「初診の現場」で出会います。

治療は抗菌薬なので単純ですが、何が問題かというと、「何の細菌が悪さをしているのか」です。というのは、抗菌薬はスペクトラムというのが決まっていて、殺せる細菌と殺せない細菌があります。それなのに細菌によっては似たような症状を示しますよね、食中毒とか。

 

ではどうやって細菌を同定するのか?

まず一つは、経験則です。

肺炎なら大概は肺炎球菌が原因菌ですし、尿路感染なら大概は大腸菌が原因です。

(肺炎についての記事を貼っておきます)

lizardtail.hatenablog.com

 

そして、何より大切なのはグラム染色です。

感染症の患者さんの多くは外来や救急ですから、その場で診断して入院させるのか抗菌薬を処方して返すのか決めなくてはいけません。

喀痰や尿をグラム染色して見てみれば、直接、何の細菌が悪さをしているのか、その場で分かりますね。

 

特に、喀痰のグラム染色検鏡では常在菌などウジャウジャいますが、白血球が「悪さをしている細菌」を貪食している様子が直接見えます。常在菌を白血球は貪食しませんが、原因菌の周りには白血球が集簇しています。それが炎症反応というものです。

 

だから、グラム染色で細菌を見分けることは重要なんです。

細菌博士になる必要はありませんが、感染症患者というのは医者になる上で避けては通れませんので、コモンな細菌はグラム染色像から同定できるようになりたいですね。