とかげのしっぽ

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Henleのループの役割、対向流増幅系・対向流交換系について

腎臓の生理を勉強する上で一番難しいのはHenleループの役割ですよね

 

 

尿は糸球体で濾過された後、近位尿細管、Henleループ、遠位尿細管、集合管の順に通過しますが、ここではHenleループの役割について説明していきます。

 

Henleループは、腎髄質を通っており、大きく下行脚・上行脚に分けられ、この順に尿が通過します。

下行脚では水の再吸収

上行脚ではNa, Clの再吸収

が行われますが、その機序の概略を掴んでいきましょう。

 

まず上行脚に注目します。

上行脚では能動的にNa, Clの再吸収(=尿細管から間質への輸送)が行われます。

これによって腎髄質(の間質)で対向流増幅系という「濃度勾配」が形成されます。(Henleループ先端ほど高濃度)

※上行脚には能動的に物質輸送をするNa-K-2Cl共輸送体(NKCC)があるからこそ、ループ利尿薬という薬効があるわけです。

 

この間質の濃度勾配があるから下行脚では浸透圧差によって、水の再吸収が行われます。

 

下行脚で水、上行脚でNa, Clの再吸収が行われるので、集合管に差し掛かる頃には尿量はかなり減り、また、濃度も低張になります。

 

この対向流増幅系があると何が嬉しいかというと、集合管も腎髄質を通るんですよね。

集合管といえばADH(バソプレシン)の水再吸収のイメージがありますが、実はこの濃度勾配(浸透圧差)による水の再吸収も行われています。

 

つまり、濃度勾配があることで効率的に尿の濃縮が行えるんです。

 

 

対向流増幅系のまとめ

Henle上行脚が濃度勾配を作り、それによって下行脚・集合管で水が再吸収される。

ループ先端では高張尿となるが、上行脚を通過した所では低張尿となってしまう。

ただし水自体は近位尿細管・下行脚にて約80%吸収されているので、量の少ない低張尿として集合管に進む。

集合管で大量の水が再吸収される(ADHと対向流増幅系の作用によって)。

効率よく尿の濃縮を行うシステム。

 

 

 

 

次に、対向流増幅系を説明する上で欠かせないのが、対向流交換系です。

これは、濃度勾配を維持するための毛細血管の仕組みのことです。

 

腎皮質・髄質ともに毛細血管が走行していますが、髄質の毛細血管は直血管といって、Henleループに伴走します。

下行していくにつれて間質の濃度は上がるので、血管から水が出ていきますが、上行するにつれて間質の濃度は下がるので今度はNa, Clが出ていきます。

これによって、腎髄質に血液供給を行うと同時に、髄質間質における濃度勾配を維持します。

 

また、腎皮質では、近位尿細管が再吸収した様々な物質を持って帰るために、通常の形状の毛細血管が走行しています。

 

対向流交換系のまとめ

皮質髄質浸透圧勾配を維持する、腎髄質内を通る毛細血管の仕組み(直血管)

直血管は間質内のNa蓄積を損なうことなく髄質への血液供給を行う。

腎皮質では、毛細血管が間質内のNa,Clを取り込む。

 

 

 

*尿細管のイオンチャネルなどの話はかなり専門的ですが、しっかり理解するならステップをオススメします*

 

STEP内科〈4〉腎・呼吸器 (STEP Series)

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