とかげのしっぽ

医学を中心とした記事を不定期に更新します

肺炎の起炎菌ランキング、特に気を付けるべき肺炎

肺炎は大きく「市中肺炎」「院内肺炎」に分けます。

病院での肺炎は通常の肺炎とは扱いが異なるから、別物として考えるわけです。(入院患者さんは身体の状態が悪く、免疫も落ちているため)

 

 

今回は特に、救急外来で受ける「市中肺炎」について。

 

 

治療は基本的に抗菌薬投与です。

 

喀痰培養や血液培養などで起炎菌を同定できれば処方は簡単ですが、培養は時間がかかりますよね。

 

グラム染色で菌の絞り込みをすれば適切な抗菌薬を処方できますが、喀出できない場合もありますよね。

 

ていうかそんなことより、頻度の高い起炎菌を知ることが

エンピリックな治療も求められる初期対応では超重要です。

グラム染色で診断する場合もその知識が有効です)

 

 

ということで市中肺炎の起炎菌トップ5です。

1肺炎球菌

2インフルエンザ桿菌

マイコプラズマ

クラミジア・ニューモニエ

5レジオネラ

他にも、黄色ブドウ球菌クラミジア・シッタシ、モラクセラ・カタラーリス、クレブシエラがあります。

 

ちなみにウイルス性肺炎が入っていないのは、

ウイルスを同定することにあまり臨床的に意義がないからです。自然と治りますし、いちいちPCRなどでウイルス同定しません。

なお、

インフルエンザウイルス

アデノウイルス

パラインフルエンザウイルス

RSウイルス

が主要な原因ウイルスです。

 

 

以上のことを知ったうえで、

肺炎の初期対応(抗菌薬の選択)を決定していきます。

 

 

 

 

また、覚えておくべき特徴的な肺炎についていくつか列挙します。

 

 

インフルエンザ後の細菌性肺炎について

インフルエンザでは上気道の粘膜が障害され、

バリアの破綻をきたし

普段では感染しないような菌に感染します。

(市中肺炎ですが、免疫が落ちているという意味で病態としては院内感染に似ているところもあります。)

 

それは黄色ブドウ球菌です。(特にMRSA

この場合の黄色ブドウ球菌による肺炎は重症化しやすいことが知られていて、直近にインフルエンザに罹った患者の肺炎では鑑別に挙げる必要があります。

 

とはいえ、インフルエンザ後の細菌性肺炎の起炎菌頻度は

1肺炎球菌

2インフルエンザ桿菌

黄色ブドウ球菌

であるので、そこは誤解しないようにしましょう。

 

 黄色ブドウ球菌にはアンピシリン-スルバクタムなど

MRSAに対してはバンコマイシンなど

を投与していきます。

 

 

 

 

HIV後の細菌性肺炎について

HIVに感染した患者さんはT細胞の機能が落ちており(免疫不全状態)、感染のリスクが高い状態です。

特に多いのが、いわゆるカリニ肺炎というものです。

(国試にも出てきますね)

 

病原菌は

ニューモシスチス・ジロベチです。

 

え、「カリニ」どっからきたの!?

って感じですよね。

 

昔はニューモシスチス・カリニという病原菌が肺炎を引き起こすと考えられていたため「カリニ肺炎」と呼ばれていましたが、

真犯人はジロベチの方だと分かりました。

(カリニはラット、ジロベチは人間に病原性あり)

 

カリニ肺炎という意味で

PCP(Pneumocystis cariniii pneumonia)

という略称で呼ばれていましたが

「Pneumocystis pneumoniaもPCPだよね、?」

ということでジロベチが犯人だと分かった今も、

PCPという略称は継続して使われています。

 

日本語では「ニューモシスチス肺炎」が正しいです。

 

 

 

 

ちなみに、

ステロイドを投与していても、このニューモシスチス肺炎は引き起こされます。(HIVニューモシスチス肺炎

 

この場合では、HIVによるニューモシスチス肺炎よりも

進行が急速で重症化しやすく、致死率が高い

ということが知られており、ステロイド投与の際には気を付けないといけません。

これは、HIVではそもそも炎症を起こすためのT細胞の機能が落ちているからそれほど重症化しない、ということなどが原因として考えられています。

 

ニューモシスチスはST合剤で治療・予防していきます。